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ついにそのベールを脱いだパナソニック・トヨタ・レーシングの05年シーズン用マシン、TF105。
大きく変更される今季レギュレーションに対応するために、徹底的な開発が行われたその姿は、外見から受ける印象以上に、そのパフォーマンスを期待できる仕上がりを見せている。
パナソニック・トヨタ・レーシングの参戦以来、新車発表の場に立ち会っている尾張さんが、期待のTF105について、高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクターに伺った。
![[写真1]](img/pic_01.jpg)
パナソニック・トヨタ・レーシングにとって4作目となるF1マシン、TF105。その発表会が1月8日、スペイン・バルセロナのフランソワ駅構内で行われた(写真1)。新車の発表会というのは、開幕戦のスタートとともに心が躍る瞬間で、ここ数年は毎年のように出席している。今年は特に大きくレギュレーションが変更されたので、「いったいどんな変貌を遂げたのか」とワクワクしながら、発表の瞬間を待った。
集まった約150名の報道陣にニューマシンがお披露目されたのは、発表会が開始されてから45分後の12時45分(写真2)。赤いベールが取り除かれたTF105を見て、一瞬「あれっ?」と首を傾げてしまった方も多いのではないだろうか。マイク・ガスコインが「ニューマシンはTF104Bの発展型」というように、確かにTF105とTF104Bの差は、正直ちょっと見ただけではわかりづらい。
![[写真2]](img/pic_02.jpg)
![[写真3]](img/pic_03.jpg)
そこで高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(以下、高橋DTC/写真3)に、ニューマシンについていろいろと尋ねてみると、高橋さんはTF105とTF104Bの差を次のように説明してくれた。
「一般ウケするような大きなデザイン変更というのは、見た目ほど大きなメリットがないんです。逆にディフューザーのちょっとした変更など、目に見えない地味な部分の方が、実はパフォーマンス向上に大きく関係している場合が多いんです。TF105はTF104Bの発展型マシンですから、確かに似たようなフォルムをしていると思います。だから、変わり映えしないかもしれません。でも、よく見ていただくと、細かな部分がいろいろ変更され、よりソフィストケイトされた、まったく別のマシンだということがおわかりいただけると思いますよ」
F1マシンの技術的なレギュレーションが2005年に向けて大きく変更されたため、TF105の開発が本格的に始動したのは昨シーズンの7月からだった。ちょうどそのあたりからTMGは風洞での実験を1日2交替18時間稼働から、1日3交替24時間稼働に変更し、開発スピードのペースアップを図っている。そして、昨年の12月23日に完成。クリスマス休暇以外はフル稼働したという、TMGが全勢力を傾けて製作したTF105は、新レギュレーションに合致しつつ、パフォーマンスダウンを最小限に抑えた出来となった。
高橋DTCは、「今年のレギュレーション変更には、大きく分けて3つのポイントがある」と言う。「ひとつは前年比でダウンフォースが約25%減となる新空力パッケージ。2つめが1台で2グランプリ走らなければならないエンジンの使用規定。そして3つめが、予選開始からレース終了まで1セットで走らなければならなくなったタイヤ使用に関する変更です。そして、このうちマシン開発にもっとも大きな影響を与えたのが空力の変更でした」
それではレギュレーションで何がどのように制限され、TF105はどのような工夫を空力面でニューマシンに施したのかを、マシン前方から順に高橋DTCに解説していただくことにしよう。
「まずレギュレーションによって、フロントウイングがこれまでより5cm上部へ移動しなければならなくなりました(写真4)。これまではリファレンスプレーン(基準面)から10cmという規定でしたから、TF105ではリファレンスプレーンから15cm上にフロントウイングが持ち上げられたことになります。現在のF1はマシン底部を流れる風の力を利用してダウンフォースを得ていますから、ウイングなど空力パーツが地上から離れれば離れるほどグラウンドエフェクト(地面効果)は減ります。一般の方は『たかが5cm』と思われるかもしれませんが、これだけで約5%のダウンフォースが失われるほど、大きな変更だったんです」(高橋DTC)
ちなみにフロントウイングが5cm引き上げられた分、ウイングとの距離をある程度確保するために、TF105はノーズも若干持ち上げられている。さらにノーズの下から送り込まれてくる空気をより多く採り入れるために、ドライバーの両脚が収まるモノコック底部も持ち上げられた(写真5)。さて、続いてはサイドポンツーン周りについて説明していただこう。
![[写真4]](img/pic_04.jpg)
![[写真5]](img/pic_05.jpg)
![[写真6]](img/pic_06.jpg)
![[写真7]](img/pic_07.jpg)
「サイドポンツーンで変更したのは、その高さです(写真6)。これは前面投影面積、いわゆるドラッグ(空気抵抗)を減少させるための変更で、当然ラジエターの開口部が小さくなりました。したがって、冷却効率の見直しも同時に図りました。例えば、サイドポンツーンから上に出ているチムニーダクトが、昨年に比べて大型のものに変更されているのも、内部にたまった熱を外へ排出しやすくするためなんです(写真7)」(高橋DTC)
リアタイヤの影に隠れているため見えにくいが、TF105のリアの絞り込み(いわゆるコークボトル形状)はこれまでよりも大きく(写真8)、その分ラジエター内の空気の排出がつらくなったことも、チムニー拡大に影響を与えている。それから、インダクションポッド両脇に設けられたロールフープウイングの形状も下側にガーニーフラップが付くなど、細かな改良が施されている(写真9)。
「この小型ウイングの役目は、ウイングそのものでダウンフォースを得るタイプと、リアウイングにうまく風が流れるようにする整流板タイプの2つがあります。われわれのロールフープウイングはTF104B時から後者のタイプです。したがって、リアウイングが15cm前方に移動した分、風の流れを変えるためにロールフープウイングの形状も変更しているのです」(高橋DTC)
![[写真8]](img/pic_08.jpg)
![[写真9]](img/pic_09.jpg)
![[写真10]](img/pic_10.jpg)
リア部が大きく絞り込まれたと同様、リアデッキの高さもTF104Bに比べて低くなったことは、エキゾーストパイプ(排気管)のカバーの高さで見ると一目瞭然だ。高橋DTCによれば、「リアデッキが低くなった分、エキゾーストパイプの取り回しもコンパクトにし、なるべくデッキからエキゾーストパイプが出ないように工夫しました」ということだ(写真10)。
