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さて、それでは次に今回のレギュレーションでもっとも大きな変更が加えられたリアエンドの解説に移ろう。
「リア部の空力面でのレギュレーション変更は大きく分けて3つあります。1つはリアウイングを15cm前方に移動させること。2つめはディフューザーの高さが12.5cmに制限されたこと。3つめがリアタイヤ前の車体底面が大きく削られたことです。この中でもっとも大きくダウンフォースをロスしたのが、ディフューザーの変更でした」と高橋DTCは語る。ディフューザーの変更だけで、ダウンフォースは約10%ダウン。さらにリアウイングの15cm移動で約5%、リアタイヤ前の底面カットで5%のダウンフォースが失われたという。
この中で、パナソニック・トヨタ・レーシングの技術陣を最後まで悩ませた部分が、『リアウイングの15cm移動』だった。というのは、リアウイングの変更は、メインフラップ(上側のアッパーウイング)だけである。支柱を兼ねる下側のロワウイングとマシンとの結合ポイントはそのままで、メインフラップのみが前方に押し出された格好となっている。そのため、ただメインフラップを15cm前方へ出しただけだと、リアウイングには斜め前方へ向かう負荷がかかることとなる。

![[写真11]](img/pic_11.jpg)
この負荷を軽減させる方法として、手っ取り早いのは支柱を兼ねているロワウイングもアッパーウイングと同様に15cm前方に出すことだが、そうするとどうしてもロワウイングが幅広になり、デザインの自由度も減ってしまう。デザインの自由度がなくなれば、当然エアロダイナミクス的にも制限が出てくる。そこでTMGの技術陣が出した結論は、センターピラー方式だった。エンジンカウルの後ろ端に支柱を1本立てて、それをメインフラップの下側に固定させるという方法だ(写真11)。
「確かに真ん中に1本支柱を立てれば、単純にドラッグが増えます。ほかの選択肢も検討しましたが、それぞれ一長一短があり、最終的にこの方法がもっとも効果的だと判断しました」というように、このセンターピラー方式はTF105の特徴的なアイデアである。ちなみに現時点で支柱とメインフラップは固定されているため、フラップの角度調整はかなり手間のかかる作業が強いられるが、開幕戦までにはこの部分の改良も順次行っていく予定だという。
さて、空力面の次はマシンの寸法や重量である。高橋DTCによれば、「ホイールベースは同じですが、マシンが軽量化できた分、重量配分の自由度が広がった」という。F1マシンは通常、レギュレーションで定められている重量より軽く作られており、その余裕分をバラスト(重り)として、マシン底部に搭載している。こうすることによって、重心が下がるだけでなく、前後の重量配分を変えることができる。
例えばリアタイヤのトラクションが欲しいサーキットや、リアタイヤのデグラデーション(タレ)の大きなサーキットでは、重量配分は後ろ寄りの方がいいと言われている。また、ブレーキングがきつく、ブレーキング時のフロントのスタビリティ(安定性)が求められるストップ・アンド・ゴー的なサーキットでは、重量配分はフロント寄りに移す。このように重量配分は、サーキットごとに細かく変更される重要なポイントなのだ。TF105は、パーツひとつひとつを見直して、剛性を失わずに軽量化に成功。この重量配分の自由度が広がったわけだ。
ちなみに現在のF1マシンの重量配分は、以前にくらべてかなり前寄りになったと言われているものの、それでもバランスポイントは車体中心部より前には出ていないという。よくノーズが下がった状態でクレーン車に吊り上げられたマシンを見ることがあるが、あれはマシンを吊り上げるためのひもを通す穴が、中心よりも後ろ側にあるだけで、必ずしもマシンの重量配分を証明するものではないという。
さて、今年から1基で2グランプリを走りきらなければならなくなったエンジンだが、トゥルーリ(写真12)が「エンジンの信頼性に関しては、ウチがもっともリードしているところで自信がある」と言っているように、すでに昨年末のテストで2005年用に組んだエンジンのうち、3台が2レース分のマイレージを走りきり、RVX-05エンジンの耐久性は実証済みだ。昨年のパワーを維持しつつ、耐久性を1500kmに伸ばした仕様となっているのは、言うまでもない。
![[写真12]](img/pic_12.jpg)
![[写真13]](img/pic_13.gif)
エンジン自体の寸法は昨年と同様だが、モノコックとの結合方法を変えて、車体全体の剛性力を上げる工夫が施されている。まさに車体とエンジンをともに自社製作している利点を活かした改善といえる。特にこの部分の剛性アップは、リアの安定性につながる重要な要素。1セットのタイヤで予選とレースを走りきらなければならなくなったリアタイヤにも優しく作用するはずだ。そのほか、TF105はサスペンション・ジオメトリーを見直し、ボディとサスペンションの結合部分の剛性もアップさせており、シェイクダウンを担当したR・シューマッハ(写真13)も「リアがTF104Bよりも、確実に安定している」とコメントしている。
このように、さまざまな改良が施されたTF105だが、すでに新しい空力パーツが風洞実験にかけられ、開幕戦までにTF105はまだまだ変身を遂げると言われている。今後、どのような進化をTF105が遂げるのか、楽しみにしたい。
