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Vol.02 尾張正博が2005年を斬る!レギュレーション大変更!しかしそこにパナソニック・トヨタ・レーシングのチャンスあり

今年ほど、予想が難しいシーズンはない。と言うと、いかにも毎年ズバズバ予想を当てているかのようだが、昨年も一昨年も結構ハズしている、自慢じゃないが。そんな、ヘボな予想屋では予想すらできないのが今シーズンのF1である。

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特集「ベールを脱いだTF105」でもお伝えしたように、05年のテクニカルレギュレーションは、前年から大きく変更された。マシン的なところでいえば、それはダウンフォースの減少に最も大きく現れている。しかし、開幕前のテストでパナソニック・トヨタ・レーシングは様々な新パーツをTF105に装着。フロントウイングの変更や特徴的なサイドポンツーン前の補助ウイングの装着などにより、着実に失われたラップタイムを取り戻していった

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TF105に搭載されるエンジン、RVX-05。最高出力は900馬力以上といわれ、そのパフォーマンスはF1界でも屈指。耐久性についてもテストで十分に備わっていることが確認されている

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今シーズンのレギュレーション変更で、最もレース戦略に影響を及ぼすと思われるタイヤ。予選からレースまでを1セットにしなければならなくなったことで、コンパウンドが硬くなったため、グリップが減ると思われた。がしかし、「タイヤで失われると思われたラップタイムは、ほぼ取り戻した」と語る関係者もいるようだ

何で予想できないのかというと、それはやはり、レギュレーションの変更が、チームやドライバーにどんな影響を与えるのか、ということだ。例えば、車体製造に関する技術規則の変更である。かつてないほどの大幅なレギュレーション変更によって、ウインターテストでは、失われたダウンフォースを少しでも回復しようと、どのチームもセッティングにはかなり苦労していた。前年までのデータがこれまでほど役に立たなくなった今年、どのようにして週末のセットアップを進めていくのか、それが僕には読めないのである。

あるいは、1基のエンジンで走らなければならない距離が、1グランプリから2グランプリへと延びたことの影響。この変更は、エンジンの寿命を単純に2倍に増やすだけでは解決しない新たな問題を発生させた。それは、2つのグランプリを1セットにして、エンジンの仕様を考えなければならないという、発想の転換を迫るのである。すべてのチームが全19戦をイコールコンディションで戦おうとしているのか、それともちがうのか。たとえば、1セットになる2グランプリのうち、どちらか一方が得意なサーキットだった場合、そちらのグランプリでエンジンの回転数を上げ、もう一つのグランプリではエンジンの回転数を控えることも考えられるだろう。

さらにこれまでごく普通に行われてきたタイヤ交換が、レース中は禁止となり、予選から決勝レースまでを1セットのタイヤで走りきらなければならなくなった。そのため、かつてないほどタイヤのソフト化が進みピットストップ回数が平均で約3回に上がった昨年から、今年は一気にハード傾向のコンパウンドになる。レース戦略の見直しとともに、各ドライバーのドライビングにもまた何らかの変更が強いられることは必至である。

このような、先が読めないシーズンへ向けて、今年4年目を迎えるパナソニック・トヨタ・レーシングは、1月8日に新車発表会を行った。新車を発表するタイミングには、2通りある。まずひとつは、ハイブリッドカーでさまざまなデータを収集し、それを開発に反映させてからマシンをデザインするという戦略。マシンの開発をぎりぎりまで延ばすことができるこの戦略は、完成度の高いデザインを可能にする。しかし、これには完成させた新車を実走テストする期間が少なくなってしまうというデメリットがある。

そこで採られるもう一つの方法は、早めに新車をシェイクダウンさせ、走り込んで信頼性を確認してから開幕を迎えるというやり方だ。「レースに勝ちたければ、まずは完走すること」という格言がF1にはある。レースとはチェッカーを受けて、なんぼの世界。特にエンジンとタイヤ使用に関するレギュレーションが変更された今年は、テストでの耐久性の確認もこれまでの2倍から3倍必要となった。エンジンに関していえば、1基/約1500kmのエンジンの信頼性を確認するためには5kmのコースで300周走らなければならないから、それだけでも3~4日は費やす計算となる。今年、ほとんどのチームが1月に新車でのテストを開始させた理由は、そんなところにもある。

ところが、パナソニック・トヨタ・レーシングが採った新車開発、そしてデビューの仕方とそのテスト方法は、どちらの戦略とも異なったものだった。

年明け早々、しかも10チームの中で真っ先にニューマシンの発表会を行ったことで、一見パナソニック・トヨタ・レーシングが採った戦略は後者、つまり信頼性の確保を重視したやり方のように見える。確かにその答えは間違いではない。このように大きくレギュレーションが変更された年に、まず信頼性を確保するというのは、ある意味定石ともいえる。チームはもちろん、そのことをしっかりと認識し、時には3台体制でテストを行うこともあった。しかし、だからといってパナソニック・トヨタ・レーシングがTF105の開発を中途半端な形で終わらせたのかというと、そうではない。

というのは、チームのある主要スタッフがニューマシンを目の前にして、こんなことを言っていたからである。

「ウインドトンネル(風洞)での実験の結果が実際に形になるまでには1~2カ月は時間がかかってしまう。だから、いま見えている新車は去年の11月ごろのモデル。いまTMGのウインドトンネルでは新しい空力パーツの製作が佳境に入っています。おそらく、開幕までにまったく違ったマシンになっているでしょう」

その言葉のとおり、パナソニック・トヨタ・レーシングは2月中旬のスペイン・バルセロナで行われた合同テストに、新型のエアロパッケージを身にまとったTF105を登場させた。つまり、彼らは信頼性を確保しながら、アップデートされたデータを元に新車開発をウインターテスト期間中も継続していたのである。こうした試みは、これまでのF1では行われなかった手法である。つまり、前例のない開発方法で4年目の戦いに挑んできたパナソニック・トヨタ・レーシングが今後どのようなタマを投入してくるのか、そして新レギュレーション下で最終的にどのような成果を挙げるのか・・・僕にはまったく読めないのである。

眠れぬ2月の夜――しかし、今年はこれまでとは違って不安からではなく、期待で胸が膨らむ開幕前夜となりそうだ。

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全10チームの先陣を切って新車を発表したパナソニック・トヨタ・レーシング。以降、着実にマイレージを重ね、開幕直前にはデビュー時とは異なるパーツをいくつも仕上げることとなった