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Vol.02 高橋敬三氏[現トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査]に聞いた「風洞実験」って何?

実験モデルは実車の50%スケールなのに、なぜ、巨大な風洞施設が必要なのか?

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パナソニック・トヨタ・レーシングが現在使用している風洞施設。中央下部に見えるのが、モデルカー。施設の大きさが想像していただけるだろうか

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実際のF1カー(TF103)と風洞実験用モデル(写真手前)。風洞実験では、より正確なデータを収集するために、50%スケールのモデルで、実験を行う

――まず、風洞というものがどれくらいの規模の施設なのか、教えてください。

高橋前DTC「具体的な数字を出してもわかりづらいと思いますので、一般的な建物で表現すると、まず広さは学校の体育館なら2個分ぐらいでしょうか。高さは4階建てのビルぐらいはありますね」

――ずいぶん、大きいんですね! でも、使用しているモデルカーは50%サイズ。なぜ、そんなに大きいんでしょうか。

高橋前DTC「風洞実験というのは、なるべく安定した状態で行いたい。ウチのモデルカーの大きさは実際のクルマの50%ですが、測定部分は100%、つまり実車もまるごと入る広さを有しています。ただし、100%のクルマを入れると、側面からの風と干渉してしまうんです。それでは、実験する意味はありません。そのために、50%のモデルカーに対して、必要以上とも思えるような大きなトンネルを作るんですね。また、その測定部分へ送る風も高速で、かつ安定したものではなければならない。そのために、ほとんどの風洞はダクトの径を測定部分よりもさらに大きくして、測定部分の直前で風の流れを縮流することで流速を安定的に上げる工夫がとられています。そのため、風洞施設はどれも巨大な体育館のように大きくなるんです」

――実際に送り込まれる風はどれくらいのスピードなんですか。

高橋前DTC「これは風を作り出すファン(巨大なプロペラのようなもの)の大きさによって決まります。われわれのファンでは秒速50m/sぐらいでしょうか。最高でも秒速65m/sが限界ですね。時速にすると、234km/hぐらいですね。ちなみにモデルカーの下には路面の代わりにムービングベルトがあって、風速に合わせて、同じスピードでローリングしています」

――それでは、モンツァのストレートを走行するような時速300km/h以上の高速でのシミュレーションはできないんですか。

高橋前DTC「確かにわれわれの風洞では、時速300km/hのような高速の状況下でのテストはしていません。でも、実車との相関は取っていますので、シミュレーションは取れます」

――TMGでは50%のモデルカーを使用していますが、ほかのチームもみんな50%なんですか。

高橋前DTC「風洞は、それを専門に取り扱っている特定の業者に依頼して建設していますので、だいたいほかも同じようなタイプのものになります。ただ、風洞施設の建設は一般の住宅のように大量生産されるということはなく、むしろプロトタイプの試作品が次々と発表されて、われわれがそれをオーダーするようなものなので、まったく同じということはなくて、少しずつスペックアップしていますね。ですから、同じ50%サイズの風洞でも、新しいもののほうが機能的に優れているというケースが多いのです。したがって、2003年に稼動を始めたわれわれの風洞は、50%サイズのものの中では最新のタイプです。しかしその後、建設したザウバー(現BMWザウバー)が60%スケールの風洞を建設し、最近建設したウイリアムズの風洞は同じ60%でも、さらに機能の優れた仕様だと聞いています」

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風洞施設に風を送り込む巨大なファン。秒速50m/sもの強風を生み出す