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――昨年の秋から、TMGでは2基目の風洞を建設しているそうですが、それは最新型と言われる60%のものですか。
高橋前DTC「いいえ、現在使用しているものと同じスペックの50%のものです」
――なぜ、最新の風洞にしなかったのですか。
高橋前DTC「確かに60%の風洞のほうが、50%よりも精度が上がるというメリットがあります。しかし、別のサイズの風洞を2つ持つと、逆にデメリットも出てきます。例えば、モデルカーを2種類作らなくてはならない。現在の風洞実験には精度はもちろんのこと、スピードが求められます。1日24時間体制で毎日風洞を回しているのも、そのため。なのに、モデルカーを2種類作っていたのでは、風洞2つ分のスピードアップは図れません。その点、同じスペックの風洞なら、モデルカーのパーツを共有できるので、開発はスピードアップできます。さらにわれわれはなるべく早く建設したかった。そのためにはイチから設計図をおこすより、いま使用している風洞の設計図を流用して、すぐに着工したほうが得策だと考えました。空力の開発は時間との戦いです。2基目の風洞は、2007年のクルマの開発に向けてのもの。もしも、60%の風洞を選択していたら、半年から1年は遅れていたでしょうから、2007年の開発には間に合わないんです」
――ということは、2基目の風洞が完成すれば、パナソニック・トヨタ・レーシングのエアロダイナミクス開発は、1日24時間体制から、1日48時間体制となるわけですね。
高橋前DTC「それが狙いです」
――ところで、1日24時間と言いますが、実際は1日どれくらい風を回わしているのですか。
高橋前DTC「1つのメニューをこなすのにだいたい20~30分かかります。それが終わると、風洞実験専門のメカニックが次のテストのためのパーツを組み替えに測定部分へ入るので、その間は風洞を止めます。細かいパーツ1個か2個なら10~20分で交換しますが、大物パーツだと2時間ぐらいかかるケースもあります。パーツの交換が終われば、すぐに実験を再開しますから、一日だいたい20プログラムぐらいは実験するでしょうか。時間にして、延べどれくらい一日に回しているか計算したことはありませんが、いずれにしても無意味に止まっていることはありません。そもそもそんな時間があったら、2基目なんて作りませんよ」
――そんなに実験する項目って、あるんですか。
高橋前DTC「別に少なくしてもいいんです、それが正しいんだったら。でも、すべてのバーツを外れナシで作るなんてあり得なくて、必ず外れが出てくる。そのとき、いろんな形のパーツを製作して実験しておけば、外れたときに別の方向性のテストへ進めるんです。例えば、ある形状のフロントウイングを作ろうというときに、1つのモデルしか作らないのか、あるいは少しずつ形状を変えて10種類のモデルを作るかということです。そして、10種類の中から良かったフロントウイングの形状に対して、さらに10種類のエンドプレートを製作していく。ほかのパーツもみんな同じような感じで進めていきますから、時間はいくらあっても足りなくなるというわけです」
TMGに建設中の、パナソニック・トヨタ・レーシングの新しい風洞施設。写真はいずれも昨年12月時点のもの。現在、一刻も早く稼動させるべく、急ピッチでの建設が続けられている
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