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僕はこの日、VIP指定席からフリー走行を眺めることになった。ガラス張りのこの席からはV8エンジンのエキゾーストノートが直接は聞けなかったが、それでも十分にF1マシンの迫力を鼓膜に感じた。またピット作業を間近で見る緊迫感に、鼓動の高鳴りを抑え切れなかった。いよいよ富士で日本グランプリが始まるということを身体全体で感じた。
フリー走行が始まり、トヨタは他のチームより積極的に走行しているように見えた。やはりホームということで、ファンの期待に答えようとしている、かなりの気合が感じられた。フリー走行1回目は路面にラバーが載っていないためか、タイムがあまり伸びなかった。しかし午後の2回目ではヤルノが上位チーム4台に割って入るタイムを叩き出し、「明日の予選は行ける!」と、大いに期待を抱かせる結果となった。
残念ながらラルフは、ヤルノに比べてセットアップに苦労しているように見えた。フリー走行1回目ではフロントウイングの角度の調整で何度かピットに戻ってくる姿が確認できた。しかし、午後のフリー走行で徐々にタイムが伸びてきたので、予選ではトップ10争いが十分に可能だろうと期待を持ちつつ、VIP指定席からの観戦が終わった。
![[写真1]](img/index_05_pic_01.gif)
この日は最終コーナーから観戦。土曜日は小雨と、かなりの霧がたち込めていた。やはりここは富士山の麓なんだなぁと、改めて実感。前日とうって変わっての天気に、どのチームもとまどっているように感じた。そして濃霧のため午前のフリー走行が中止され、午後の予選が一発アタックとなり、昨日の走行データがまったくいかせない状況となってしまった。
嫌な予感はしていた。昨日の流れで行けばトヨタは、もちろん予選最終ピリオドまで余裕をもって残れる実力があると予想された。天はトヨタを見放してしまったのだろうか。ヨーロッパGPでもそうだったが、雨では今年のトヨタのクルマの性能を十分に出し切れない。それでもヤルノとラルフは気合の走りを見せ、第2ピリオド進出を果たした。しかし、ラルフはホームグランプリということで焦ったのか、山本左近のクルマに接触してしまい、第2ピリオドに進出はしたが走行不能となってしまった。ただただ残念のひと言! オフィシャルのバイクの後ろに乗るラルフの後姿が悲しげに映った……。
それでもラルフは雨の走行を得意としているので、ヤルノとともに決勝では入賞目指して、サーキットを大いに暴れまわって欲しいと思った。
決勝は雨で尾張さんのコラムと同じく失望のレースだった。ヤルノは前半でミスから順位を落とし、ラルフはヤルノより調子は悪くなかったものの、マシントラブルでリタイアしてしまった。雨は想定外だったのだろうか。富士スピードウェイは雨がつきもの。当然、ホームグランプリだけにその対策はしていたのだろうが、まだマシンもチームも未成熟であることが浮き彫りになった結果であった。とにかくホームグランプリだっただけに失望は大きい。しかし、今回の失敗をバネにして来年こそはポディウム目指して頑張って欲しい。そして今回も「ラルフスマイル」はお預けとなってしまったが、マシントラブルを修復し、コースに復帰したときは正直うれしかった!
最後にトヨタを去るラルフへ一言。
「トヨタでの3年間、お疲れ様。富士で見た最後の勇姿は忘れません。ドライバーとして、たとえ舞台が変わろうとも頑張ってください!」
![[写真2]](img/index_05_pic_02.gif)

