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Vol.05 30年ぶりに富士にこだましたF1エキゾーストノート!日本GP 富士現地企画を徹底レポート!! VIP指定席当選者レポート

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Report06 Reikoさん 「別れの挨拶」

予選第1ピリオドで山本と接触し、マシンを降りたラルフは、オフィシャルのスクーターの後ろに乗ってピットへ戻った。P席の一番端の席で観戦していた自分の前の通路に、彼の姿が現れ、眼下を通り過ぎていくのを見送ったとき、ひとつの感覚が自分の内に湧き起こった。それは、05年サンマリノGPの決勝で感じたものと同じだった。あの日、私はミハエルの時代の終わりを悟った。その年の鈴鹿で、「彼を鈴鹿で見られるのはあと1回。来年が最後」という心積もりが常に頭にあった。

翌日曜日の午前、パドッククラブに挨拶に現れたラルフは、私の知っているいつもの彼だった。ちょっとお茶目な返答や仕草。いつもの笑顔。だが、決勝スタートを間近に控えた今、「いつもと変わらぬ外見」の彼に、違和感のようなものを感じた。それは、彼自身に起因するものではなく、その場の雰囲気によるものだったのかもしれぬが……。ガラス張りの外は、雨が降り続いている。レースも雨だろう。彼が今日のレースを完走することは、私の頭には欠片もなかった。彼が部屋を出て行くとき、これが、私が間近で見る最後の彼の姿になるだろう、と思った。

その後実施されたピットウォークで、時間が許す限りトヨタのピット前にいた。トヨタチームは、仕切りのテープを開放し、ピットの間近まで、客を入れてくれる。しばらくの間、挨拶や記念撮影をするトヨタの関係者や招待客たちでごった返していたが、社交がひと通り済むと、人の姿はまばらになった。がらんとしたピット前の空間に傘をさし、ひとりぽつねんと立っていると、今なぜここにいるのか、何をしているのか、自分でも判らなくなってきた。ただ、「自分は、ここに居なければいけない」という声が、頭の中で聞こえた。

ピットにいるチームクルーは、先程のラルフと同様に、「いつもと同じ調子」で淡々と仕事をこなしているように見えた。別の時刻や場所では、チームのホームGPゆえの特別の雰囲気があったのかもしれぬが、自分には、知る術はなかった。ピットウォークの間、ヤルノのマシンはあまり弄られず、接待客の記念撮影の背景にされていたが、ラルフのマシンは、自主点検で車検場とガレージを往復した。

帰ってくると、クルーがラルフのヘルメットを持ってきて、マシンの上で作業をし、終わると、ピットの隅の棚の上に置いた。ラルフは、ヘルメットのデザインを、私が最初に見たときのまま12年間変えなかった。いとおしんで見続けてきた黄色を、立ちづさんで、見つめた。

日本GPが終了した翌日、ラルフは、今季をもってトヨタを離れる旨を発表した。

[写真1]

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