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Features Vol.05 大興奮の三日間!富士の裾野は今年も熱かった…。「VIP指定席当選者が綴る、2008年日本GPレポート」

REPORT 06 「観戦レポート」 TOYOTAの熊ちゃん さん

今年の富士でのF1を忘れることはないだろう。
昨年の悪夢と比較して、予想以上にスムーズな運営だった。
VIP指定席という、特別なエリアで観戦することができた。
もちろん、これらの喜びも忘れることはできない。
ただ……一番心の奥に刻まれたのは「悔しさ」。
悔しいレースだからこそ、忘れられないのだ。

F1日本グランプリ観戦も10数回目、私は比較的現地観戦に慣れたファンのひとりだが、今回はついに! 応援メッセージの気持ちがf1.panasonic.comのみなさん、そしてパナソニック・トヨタ・レーシングに届き、憧れのVIP指定席での予選観戦となった。

昨年の富士は、スタンドからの視界の問題、バスの遅延問題、天候の問題等、そしてセーフティカー先導のレース。とにかく問題山積み、不満だけが残った。今年の観戦に不安がまったくないわけではなかったが、唯一雨が降るかもと予測されていた土曜日にVIP指定席でのF1観戦となったのは良かった。

10月になると、今までにない緊張と、昨年の問題やそこからくる不安も吹き飛んでしまうような興奮で、仕事も手に付かず(会社のみなさん、ごめんなさい)、日本グランプリを迎える。

金曜日の結果から、今回のパナソニック・トヨタ・レーシングにはかなり期待が持てそう。私は現実主義者(?)なので、あの二文字、VやWから始まる単語は簡単に口に出さない、出したくない。それでも手ごたえのある初日の結果。しかし残念ながら(?)応援するヤルノではなく、私が今年のベストルーキーとして勝手に選出しているティモに、ヤルノ以上の速さ、強さを感じる。彼にとっては初めてのサーキット、フリー1回目の出遅れは仕方ない。それでも2回目にはトップタイムを記録。全力を出していないであろうフェラーリやマクラーレンは無視して、事実上のライバルであるルノー、トロ・ロッソと比較してもいい勝負ができる! 気分良く、そしてスムーズにサーキットを後にした。

曇り空の土曜日を迎える。「雨よ、来るな」と祈りながらバスの窓から外を見ていたが、やはり降ってきた。それでも私には今日の楽しみが待っているではないか! 同伴者が遅刻するかもというハラハラで、一瞬興奮する気持ちも吹き飛んでしまったが、同じパナソニック・トヨタ・レーシング&ヤルノファンの友人に見送られ、いよいよVIP指定席へ!

VIP指定席ライフは、8:45からの朝のピットウォークで始まった。場慣れしたセレブな常連や企業のVIP・ご招待客は、朝早く、それも小雨の降る中でのピットウォークにはほとんど参加せず。よって木曜日に行われる一般ファン向けのピットウォークとは違い、チームの作業がとても見やすく、数時間後に始まるセッションに向けてF1カーを本格的に調整中で、これぞホンモノのピット作業を見ているという印象。パナソニック・トヨタ・レーシングのピットガレージでは、F1カーの目の前まで入れていただき、エンジニアの作業、ノーズやカウルのない調整中のF1カー、ピットイン・タイヤ交換・給油の練習を近くで見ることができた。朝の練習とはいえ、こんなにも近くでタイヤ交換の練習シーンを見ると、ドライバーだけでなく、クルーの仕事がどれだけ重要で、それは時としてレースを決めてしまうものなのだと改めて感じる。そう、シンガポールでフェラーリがやってしまったことは、絶対にあってはいけないのだと。

今回ではないが、下位カテゴリーのピットウォークの際、ナットを外すドリル(?)を触ったことがあるが、ドリルの回転の速さに指が切れてしまうという恐れ、手のひらにはずっしりと重い振動が伝わり、これをレース中に、コンマ何秒を競う中でやっているかと思うと、クルーの方の作業ひとつひとつにも拍手を送りたくなる。

ピットウォークが終わり、フリー走行までの時間はVIP指定席での朝食。何種類かある温かいパンや、オレンジジュース、コーヒーなどをいただく。私は「このVIP指定席ライフを何から何まで楽しもう!」と遠慮などせず、興奮も忘れてガツガツといただいた。席に着くといきなりシャンパンを勧められたが、もちろんこれもゴクリ。

そして軽い朝食の後は、VIP指定席エリアの中を散策。ピットガレージの最上階3F部分にはフリーエリア(チームのVIP指定席パスに関係なく、入れるエリア)があり、そこではマッサージのサービス、ネイルサロン、ドリンクサービス、アイスクリームやフルーツが並ぶカフェコーナーもある。雨もひどくなってきている中、これがF1観戦なの? なんて幸せなのだろう!! と、優雅なひと時を過ごそうとした。しかし、ドライバーがパドックのエントランスにやってくる姿が見えると優雅な気分はそっちのけ。3Fからエントランスに集中し、見入っていた。残念ながらパナソニック・トヨタ・レーシングのドライバーを見ることはできなかったが、普段ニュースサイトの写真で見ている、ドライバーがパスをかざしてパドックに入ってくるシーンを楽しんだ。

11時にフリー走行3回目が開始。多くの方がご存知の通り、富士のVIP指定席はガラス張り。綺麗なのだが、エンジン音やガソリンの匂いをまったく感じることができない。私は時間を区切って、フリー走行前半は部屋の中から、ガラス越しに近くでマシンを見て、後半はVIP指定席用の座席か、ピットガレージ3階部分のフリーエリアから見ようと考えていた。

しかし、ここで次田プロデューサーから、うれしいお知らせが! 「ガレージ見学を行います。11:30に集合してください」とのこと。実際に走行中のF1カー、ドライバー、仕事中のクルーの姿を、近くで感じることができるなんて、おいしい食事やワイン、シャンパンよりも、優雅な雰囲気よりも、なによりも興奮する出来事だ!

ガレージに入ったときはちょうどヤルノもティモも走行中。そこにはヘッドセットが用意されており、実際のチームラジオを聞くことができる。イタリア語訛りのヤルノの英語、順位の確認やタイヤ状態を伝えるメカニック、ティモの走行、タイムや順位も確認。テレビ中継で流れる、時間差がある一瞬のラジオではなく、まさに"今"を伝えるその声に、耳を澄ませた。

ヤルノ、ティモともに周回を終え、ガレージに戻ってきた。ガレージでの作業。モニターだけでなくコース図なのだろうか、紙やメモに目をやり、エンジニアとドライバーが次の走行に向けての打ち合わせ。短い打ち合わせの後は、エンジンに火が入り、再度コースに向かう。こんなに近くでF1のエンジン音を聞くのはもちろん初めて。ヘッドセットをしていないと本来は耳が痛い。しかし私にはその痛ささえも快感で、心臓に突き刺さるエンジン音をこれでもかというくらい浴びたくて、ヘッドセットを外した。

これ以上ない経験をしたフリー走行だった。

フリー走行が終わり、予選までの2時間はゆっくりと過ごす……なんてことはできない、もったいない! VIP指定席ライフの時間は待っていてはくれないのだ。フリー走行が終わるとすぐに2回目のピットウォークにランチタイム。自分の席に戻った時には、ランチの前菜が用意されていた。F1カーも見たいけれど、ガレージの裏では走行を終えたドライバーたちの姿も確認できる。もちろん用意された食事もすべて楽しみたい。本当に忙しく、あわただしく……私のVIP指定席ライフは、次第に「優雅さ」とはかけ離れていった。

ここで来年、この企画に当選される方へのプチアドバイス(笑)。

緊張と興奮は朝、VIP指定席のエントランスをくぐるまで! 何度も言おう、VIP指定席ライフの時間は本当にあっという間で、待っていてくれはしないのだ。すべてを楽しむためには、優雅な気分に浸ったり、遠慮をしたり、逆にアタフタしてしまうなんて、本当に時間がもったいない!

予選前には路面も回復、ドライコンディションに。予選はピットガレージ3階部分のフリーエリアからコースを眺め、カメラとカンガルーTVを手に観戦。もはやパナソニック・トヨタ・レーシングにとって予選第3セッション進出は当たり前(でなければいけません)。そう思って最近の予選を見ている。だから2台そろっての第3セッション進出に喜びはなかった。問題はその先の順位。予選の結果は……可もなく不可もなく。いや、後から振り返ると、軽い燃料でのアタックが正解で、パナソニック・トヨタ・レーシングは(トロ・ロッソも)作戦ミスだったのだろう。

レース結果を見てわかったことだが、それは明らかとなった。軽くしたクビカ(BMWザウバー)は(もちろんスタートの混乱を避けたことも手伝い)表彰台。ヤルノは彼との予選タイム差がコンマ1秒を切っていたが、結果は5位。もしフェラーリやマクラーレン、アロンソ(ルノー)やクビカと同じような燃料だったら……決勝だけでなく、予選から戦えたのだった。それだけではない。予選第3セッションに進めなかったドライバーがよくやる不規則な2ストップ作戦、それを成功させたピケ(ルノー)にも抜かれた。もちろんこれらはレース結果を知った上での感想。ただ調子の良くなかったBMWザウバーの前には出たかった。というのも、予選の後で予定されていたドライバーズアピアランスで、ドライバーの笑顔が見たかったから。

ドライバーズアピアランスは、予定通りヤルノと小林選手が登場。ヤルノは、まだパナソニック・トヨタ・レーシングが達成していない最後のポディウム(優勝)を誓い、小林選手はティモとのデータのやり取りなどを話してくれた。2人は本当に仲が良さそうだった。予選直後のヤルノは少し疲れていたかな? 小林選手は関西弁というだけでなく、とても話し上手、盛り上げ上手。今後がとても期待できる日本人ドライバーだ。

ドライバーズアピアランスの後、小林選手にはサインをいただくことができたのだが、その際、小林選手が、「これはオーストラリアの写真ですね」と気さくに声をかけてくれた(今年の開幕戦を見に行った際、一緒に写真を撮っていただき、その写真にサインをいただいたのだ!)。こういうちょっとしたドライバーの優しさも、「ファンが応援したくなる」重要な要素。彼がレースでF1カーをドライブする時、この写真とサインの想い出は、とてつもなく大きなものとなるだろう!

日曜日の決勝。序盤は、ペースの良いヤルノが魅せてくれた。逆に金曜から調子の良かったティモは無念のリタイア。本当にいい走りをしていただけに無念、悔しかった。ヤルノもポイントゲットとはいえ、そのレース内容には悔しさが残った。先にも書いたが、予選で積んだ燃料が勝負を決めていた。

軽い燃料でフェラーリやルノー、BMWザウバーと堂々勝負するパナソニック・トヨタ・レーシングが見たかった。それができたのが富士だったのだが、パナソニック・トヨタ・レーシングはチャンスを逃した。

レースに勝った、本当に強かったアロンソ選手には、心からおめでとうを言いたい。彼と彼のチームは強くて、速くて……その姿からパナソニック・トヨタ・レーシングに足りないものをたくさん感じたから。ライバルが惚れるくらいかっこよく輝いているレースこそ、私の記憶に鮮明に残る。この悔しさをばねに、さらにパナソニック・トヨタ・レーシング、ヤルノ、ティモ両ドライバーが飛躍してくれることを願って……。

心にぽっかりと開いた穴。
レースの結果とは関係なく、現地でのF1観戦後は脱力感が何日も残る。
自分の全身全霊を傾けた3日間が終わってしまったからだろう。
これを埋めるのは次の観戦しかない!
結果、獲得ポイント、パフォーマンスに一喜一憂し、
身体全体でエキゾーストノートを感じたこの3日間。
また来年、新しい鈴鹿で、
そして再来年、富士で、
次はパナソニック・トヨタ・レーシングの番だと信じて!!!

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